日本は今、登り続けてきた山を下りる過程にあるのだと思います。登りっぱなし
などありません。頂上を極めたあとの下りるというのは、自然の理です。
登山を成長の時代とすれば、下山は成熟の時代。登っている時はただ頑張るだけ
ですが、下山する時は景色を眺めながら、なぜ自分は山に登ったのか、その結果何
を得たのか、と人間的な思考が浮かぶものです。下りるから、次の山に登ることが
できます。下山の時は、新しい登山の道半ばともいえるのです。
底があるからこそ、至上の幸福感がやってきます。窮すれば通ず。人間はその時
になれば何とかして切り抜けて歴史をつないできたのです。上ったり下ったりを繰
り返す。生きるとは、そうした波の中で過ごすものだと納得すれば、おのずと幸せ
を感じる時はやって来るのではないでしょうか。
五木寛之
人間にとって一番恥ずかしいことは、立派になるということです。
僕にダンディズムがあるとすれば、このへんですね。
自分って、『自分がいかに下らない人間か』ということを思い知ることで
スーッと楽になれるんじゃないかな。
『なんだ、俺はいままでにこんなつまらないことにこだわってたのか』って。
そして楽になると同時に打たれ強くもなるんですよ。
タモリ
Take the risk. (リスクを知れ)
No pain, no gain. ( 痛み無くして、得るもの無し)
Never say never. (決してあきらめないで)
Just keep going. (前進あるのみ)
Mistakes keep people. (失敗が人を作る)
釈尊の説かれた「無常」の真理とは、「この世ではいつ何が起るか分からぬ」
ということです。それ故我々は、この「無常」の大法を常に心して、何が
起こっても驚かぬようにしなければならぬ。それでもイザ現実にぶつかった
となると、動揺を免れないがしかし根本的な動転だけはしないですむ。
森 信三
わずかな、せいぜい長くて百年ほどの現世なんて、永遠の過去世と無限の来世に
はさまれたサンドイッチのハムよりも薄い時間に過ぎないのだと思えば、そんな短
い現世であくせく生きている人間の命は、巨いなる者の目から見ればわれわれ人間
の目に映る蟻の生よりも、はかないものなのかもしれません。
瀬戸内寂聴
夢は喪失を受け入れるていくための儀式のようなものだ。
夢を見るということでようやく、人間はある平衡をとることが出来る。
人にはそれぞれ特権的な夢がある。