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孤独

(夏山と冬山との違いは寒さだけではない)
・・・・・寒さだけなら、寒くないような準備さえすればしのげるけれど、それ以外にあるとすれば・・・・それは孤独であった。夏山にはどこかに人がいた。小屋があった。鳥もいるし動物もいた。花も咲いていた。だが冬の山には人はいなかった。小鳥の啼き声も聞こえないし、草木も眠っていた。
 加藤は身ぶるいした。冬山の寒さは孤独からくるものではなかろうか。すると、冬山に勝つには孤独に勝たねばならない。
「おれは孤独に勝ってみせる」
加藤は震えながらそうつぶやいた。

                「孤高の人」(新田次郎)

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posted by わたなべあきお | - | -

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