「甘受」~雨に濡れたくらいの腹立ちはすぐ消える。
しかし人間関係となると、心の奥底にグサリと突き刺さるようなものが多い。
ニタッと笑ったから刺し殺したという話に驚くが、これは人間に怒りの心が
存在し、事に触れて爆発する事を示す。
その事が問題ではなく、自分にある怒りの存在が根本問題なのだ。
この事を知るのは苦しい。
自分が受ける結果は、自分に原因がある(自業自得)と言う事実すじ道を
無視して来た、過去人生を清算しなければならなくなる。大変。
(田辺 聖恵)
笑いかけてくれ 僕のために
作り笑顔しか できない僕に
思い出させてくれ あのころのことを
ひたむきに生きて 見つめ合った二人を
サヨナラなんて 思いもせずに
手を握るだけで 勇気が湧いてきた
一日一刻が いつも輝いていた
真っ赤な夕日は 淋しい色じゃなく
明日また逢える 希望の色だった
笑いかけてくれ 今の僕のために
笑おうとしても 笑おうとしても
泣き顔になってしまう 僕のために
軽やかに半音を切り替えるハーモニカ演奏~クシコスの郵便馬車
体育館に響き渡る~「nice shoot!」の声
防波堤に翻るスカート
鮮やかなコバルトブルーのシャツ
薄暗い跨線橋下を通る爽やかな風
見舞いの便箋に添えられた数枚の顔写真
バイク事故の体への献身の看護
別れの時の頬へのくちづけ
ペンネームで寄せられた何通もの手紙
「どうしてそんなに苦しい方へばかり行くの?」
離島で眺めた満天の星空
遠路はるばるやって来た湖畔の宿の別れ
「結婚しました」の短い文面の葉書と代わった苗字
流れるように達筆な文字
勝ち気で颯爽と歩くミニスカート
「思い出に・・・」と差し出すものは受け止められず
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
巡る巡る~時代は巡る
不気味な静寂が部屋を支配する
外からも音らしい音は聞こえてこない
時折風が隣の洗濯物を揺らすだけ
パソコンで観ているユダヤ人ガス室送りの
映画のせいかもしれない
まるでその時代にタイムスリップしたかのようだ
人間の愚かさはどこから来るんだろう
当事者は自分が後世に裁かれる存在だなんて
思ってもいないだろう
現代も同じようなものだ
明らかな軍服と武器を持たないだけで
やってることは愚か極まりない
市民は無抵抗に追いやられ
運としか言いようのない気まぐれが
人々の生死を分ける
暗闇と無音のなかで
携帯のバイブ音に
現在に引き戻される