己が心に鞭を打つ
しっかりしろよと 鞭を打つ
馬の尻でもあるまいが
その痛みは
やがて
心の襞に 浸み込んでゆく
老体に
徒歩の刑は堪える
しかし
歩まねば
あそこへは
たどり着けない
だから ひたすらに
歩を進める
額の汗が 背中の汗が
心の汗と思えるか
先に出かけたはずの君の姿が見えない
反対方向を見れば、もうはるか向こうを君は歩いている
確信したような足取りで
声は届かない距離だ
いずれは合流するはずの道ではあるが
なぜか逢えなくなってしまうような気がして
僕は君の後を追うことにした
追いつけそうもない足取りで
気持ちだけがやけに焦っていた
目覚めると
かすかな疲労を伴ったけだるさを覚えた
まるで歩き疲れたかのような
まるで気疲れしてしまったかのような
心の中に内在する不安と希望の夢化なのだろうか
それにしても君の足取りは確信に満ちていた
対して僕のそれはどうだ
何とも心許ない歩みではないか
気持ちは走っても足は走らない
不自然になぜか呼吸は荒い
これがあの疲労感の原因か
夢の中の出来事でも体は疲れるんだ
シャワーでも浴びるか
重い体で立ち上がる
振り向けば寂しい 君の住む故郷
若い日の涙は 明日への涙か
暗闇の彼方に 口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
東の空に日が昇るまで
とても とても 遠い旅路さ