「誰も居ない」淋しさじゃなく 「誰かが居ない」淋しさ そう 貴女が居ない~淋しさ
「あなたは、いつもどこか遠くを見ている・・・」 言われて初めてハッとする でも、その時にはもう遅い 一番大切な人が遠ざかってゆく 僕の本意に反して 消えて行く 無意識の幻想 僕は何を求めて 何を夢見て 遠くを見ていたというのだ 僕は・・・やはり・・・ ふたりの自分を生きている
おかあさんのいない少年時代なんて 仮想劇のようなものさ 追いかけても 探し回っても そして・・・泣き叫んでも いつも夕暮れの薄暗い街角に ひ・と・り 人生はいつも青春 いつも心の流離い からだの大きくなった 心は少年のままの男が ひ・と・り 代役はたくさんいたよ みんなやさしかった 包んでくれた そのぬくもりのなかでも 泪が頬を伝うのはなぜ やっぱり僕は ひ・と・り
そっと名前を呼んでみた あなたの名前を呼んでみた 暗闇の彼方から 木霊に似た返事がしたような 嬉しい錯覚を覚えた そして厚かましくも その木霊を僕の名前に置き換える自分がいる あなただけが他の人とちがっていたね ちゃん付けではなくて 丁寧にさん付けだった 親しみとそれ以上と 聞き分ける語感に 心の重さを感じる僕だった
あなたが一番好きな花 それは コスモス 純潔 優美 調和 乙女の愛情 幼い恋心・・・ あなたそのものの花言葉たち あなた自身に逢えるような衝動に駆られて 僕は嵯峨野路を歩く 夏の天の川に似て この季節だけのあなたとの再会
言葉にしなければ 伝わらない でも・・・ 言葉にしない中で 相手の胸に響く悦びが 僕はとっても嬉しいのです それが堪らなく好きなのです そしてまた その確証とも言える 相手の眼差しが 僕の胸を射抜くのです
相似の体験 相似の罰 父と同じ体験をしている僕 遺伝の一言では語れない何か 憎むべき本質を断ち切ろう いざ、勝負!
あなたの写真がありません ただの一枚もありません 焼き払ったのでしょうか それさえも記憶がありません 誕生日も覚えていません 見事なまでのショック 母との別離に匹敵する 止まってしまった記憶と時間
校庭の片隅には無いよ 更衣室の裏庭にも無いよ だって 僕の心の奥底だもの 覗いてみたいかい 僕には 開けちゃいけない気がするんだよ 二人だけのタイムカプセル
照りつける日射し 押し退けられる灰色の雲 気だるい山波 昨夜の夢は熱気に追いやられて ただ現実だけが立ちはだかる 通学の小学生たちの かん高いはしゃぎ声も 休日のように聞こえない 直射を受ける草花は 口を開けて待っている 霧水の銀色の花 逃げ惑う小虫たち うなだれていたひょろい草が 一瞬頭を上げたような 今日という日は
Access: