紙の上に線は引けても 意識の中に線を引くのは難しいことだ 強く、太く、勢いよく 引きたいと思えども 芯が折れたり、インクが出なかったり、紙が破れたり・・・ 目を瞑っては・・・ 遠い海を航海したり 遙か草原を歩いたり 懐かしい友と語ったり いやいや・・・ これではいけないと 手回し道具でエンジンをかけようと試みる 情けなくも、これしかできない すぐそばに、タッチキーがあるというのに・・・
シンプル ファッション シンプル ライフ そう・・・だから シンプル イズ ベスト 飾りを捨てると 残るべきものが残る それこそが本質 正味のきみだ モノトーンでまとめた服に きみのハートが光り輝く
無音の世界に慣れましょう 静寂の極致にわが身を置きましょう 自ら逃げ込んだわけでもなく 誰かに追いやられたわけでもなく 奥深い森のような世界 聴力を奪われたかのような世界 そんな世界で 僕は確認のための声も出そうとはしない
砕け散った欠片を集めてみたさ 苛立ちと後悔の中で あまりの破壊の力量に ジグソーパズルのようにはいかなくて ただ寄せ集めただけで 並べ替える気力を失った こうなることはわかっていたさ そもそも復元を考えるなら これだけのパワーは使わなかっただろう 投げやりでもない 捨鉢でもない やけくそでもない なんなんだ この鬱憤は どこに向けてるんだ この苛立ちを 超冷静なはずの もう一人の自分が どんどん小さくなってゆく
馬鹿正直でいいじゃない 糞真面目でいいじゃない 器用貧乏でいいじゃない 二枚舌より 要領よしより 人真似上手より
歩き疲れて 歩調をゆるめれば 脚もとの銀杏の葉が 笑って見える 一枚を掌に乗せ そっと包み込む 歌っておくれ 愛の歌を 踊っておくれ 恋の舞を そうか お相手が必要か もう一枚を 拾いましょう
暗闇の中で 僕は落下を始めた 不思議と恐怖心はなかった 地面なのか海面なのか それらしき場所が近づいたとき 僕は意識を失った 夢現というやつなのか どこまでが実で どこからが夢なのか 混沌とした設定に 僕は戸惑いながら 自分の体と心を確認した 母親の胸に抱かれて見る夢に 猫や狸があらわれて 幼子には鬼や化け物のように 恐ろしかった しがみつく指先の温もりと柔らかさが 唯一の命綱だった 同じ夢を どこで見るかで その衝撃や恐怖は 安楽の境地にも変化する 僕を取り巻く猫や狸は いつの間にか ウサギやリスにすりかわっていた
北のきみはどうしてる 病はもう癒えたかな 東のきみはどうしてる 仕事の疲れはとれたかな 西のきみはどうしてる もう僕のことなど思い出しもしないかな 南のきみはどうしてる ずいぶんと様変わりしたろうな 同じ街のきみはどうしてる いちばん近いのに いちばん遠く感じるのはなぜだろう
枯葉舞う坂道の歩道に 可愛らしいリュックを背負った 君の黒いブーツの靴音が響く 茶色のニット帽を深めに被り 小首を傾げてスマホに見入る 場所探しなのか 待ち合わせなのか 確信したように 君はまっすぐに歩き始める 緩やかな坂道を遠ざかる 小気味よい靴音
笑いかけてくれ 僕のために 作り笑顔しか できない僕に 思い出させてくれ あのころのことを ひたむきに生きて 見つめ合った二人を サヨナラなんて 思いもせずに 手を握るだけで 勇気が湧いてきた 一日一刻が いつも輝いていた 真っ赤な夕日は 淋しい色じゃなく 明日また逢える 希望の色だった 笑いかけてくれ 今の僕のために 笑おうとしても 笑おうとしても 泣き顔になってしまう 僕のために
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