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夢遊病者

「あなたはいつも遠くを見ている」

「わたしの話を聞いていない」

そう言われて我に帰る

きみのことを考えてるんだけどね

男と女の違いなのか

僕だけにある特異性なのか

確かに僕は飛んでいる

夢遊病者と言われても仕方ない

posted by わたなべあきお | - | -

花のように

時を知って
鮮やかに咲いて
潔く散ってゆくきみたちが羨ましいよ

って言えば
きみたちは怒るだろうな
「それは人間側の主観だろう」ってね

そうかもしれないね
せっかく人間に生まれて
その与えられた役分を果たし切っていないんだものね28.3.22-1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

罵声を浴びせられても
耐えて怯まず そして決して言い返さず

頬を打たれても
奥歯を噛みしめ そして決して殴り返さず

突き倒されても
上手く受け身をして そして決して睨み返さず

両拳で支えて起ち上がる 起ち上がれ

何事も受けるはそれなりの訳があり
己の裏返しと受け止めて
ひたすらわが心を清め磨くのです

そう言い聞かせ言い聞かせ
湧き上がる憤懣を抑えるのです

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posted by わたなべあきお | - | -

おかあさん

緑の野原にきみを見る
薄紫の山並みにあなたを想う
はるか遠い水平線に亡き人たちの声を聴く

故郷は僕を待ってくれているでしょうか
母の想い出のないあの地は
故郷と言えるでしょうか

目を瞑りましょう
夕日を背に菜を摘む母が見える
腰を伸ばし額の汗を拭う母が見える
坂道で両手を広げて僕を抱き寄せる母が見える
死の淵を彷徨う僕を必死に看護する母が見える

僕はあなたに何をしてあげたのでしょう
存するだけで良かったのでしょうか
さよならも言えずただ泣いてばかりいた僕

ただただ想うこと
その想いを届けること
あの時とは逆に
僕があなたを抱きしめてあげましょう

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posted by わたなべあきお | - | -

夢の迷路

声をかけたけど

きみは振り向かない

きみの前へ行こうとしたけど

透明な壁が行く手を遮る

そうか・・・だから聞こえないのか


壁は奇妙な曲線の集合体で

抜けたと思っても必ずこちらへ戻される

なぜなんだ・・・

僕たちはねじれの位置関係なのか


数学的なものと

哲学的なものとが混在した不思議な世界

僕はとんでもない迷路に入り込んでしまったようだ

ああ・・・

またあの基準点に戻ってきてしまった




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おかあさん

白い野菊 それが おかあさん

かすみ草 それが おかあさん

甘い綿菓子 それが おかあさん

両腕を開いて受け止める それが おかあさん

縁側の陽射し それが おかあさん

柔らかな胸のふくらみ それが おかあさん

頭を優しく撫でる手 それが おかあさん

お風呂の湯気の中 それが おかあさん



自意識があれば 鮮明に覚えていたでしょう

何も覚えがない

あるのは・・・

挫棺の中の

花嫁のような白装束のあ・な・た

三つ子の魂 ここにあり

おかあさん

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ひたすら

土を耕そう ひたすら 土を耕そう


   水を引こう ひたすら 水を引こう


      種を蒔こう ひたすら 種を蒔こう


         干上がって 石ころだらけで 誰も見向きもしないけれど

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寂しくなんか(返詩・春の乙女)

      さびしくなんか


    あなたは そこにいて ここにはいない

    でも・・・

    あなたは わたしの こころのなかに

    そっと やさしく いてくれる

    だから・・・

    わたしは さびしくなんかない


もう・・・

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posted by わたなべあきお | - | -

存在

何を求めていたのでしょう

何を探していたのでしょう

それらはみな

すぐそばにあったのに

まるで空気のように

まるで寄り添う影のように

ずっと離れずに存在してくれていたのです

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サヨナラ

ひとは何時か旅立つ時が来る



実に



あっけなく



悲しんだり、懐かしんだりする間もくれずに

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