晴れた朝の南の空に 雲と見間違うような白さの半月が 薄ぼんやりと死んだように浮かんでいる 月は 明るさの中で眠るのか
わずか数百メートルの坂道 ガレージからの帰り道 いろんな生き物に出会う 雀 カラス 蟻 蝶 ミミズ カタツムリ トカゲ 蛇 てんとう虫 そして季節の花々 みんな・・・生きている 精一杯生きている〜僕にはそう見える そしていつも自問する 負けているんじゃないか・・・あいつらに
その優しさがマイナスだと言われる 過ぎるのだ・・・と 甘さに置き換えてのことだろう そうかな これは父譲りだからね 良いも悪いもないよ 僕の中に 母親譲りは見つけられないのかな 女番長のような一面の欠片でも 残しておいて欲しかったさ
ねんねこや〜 ねんねこや〜 あきおはいい子だ ねんねしな〜 ・・・・・・・・ ゆっくりからだを揺らしながら 軽く優しく両の手が動く ・・・・・・・・ 昼間、坂道を駆け上って 母の胸に飛び込んだ瞬間が スローモーションのように蘇る でも すべてはまぼろし
母の声 母は四つの僕を残して世を去った。 若く美しい母だったさうです。 母よ、 僕は尋ねる、 耳の奥に残るあなたの声を、 あなたが世に在られた最後の日、 幼い僕を呼ばれたであらうその最後の声を。 三半規管よ、 耳の奥に住む巻貝よ、 母のいまはの、その声を返へせ。 堀口大學 ※シチュエーションがまったく同じである。 僕は前日、満三歳になったばかり。 「あれ・・あきおが、まんまごせって言っちょうわ・・・」
葉脈のように 僕の血脈が浮かび上がる 僕は・・・ まだ・・・ 生きている もう少し 生きなければならない この一事を完遂しなければ 終われない
ここまでの人生を漉してみよう 何が残る? 何も残らないか? まだまだだな 集大成にはまだ早い 小っちゃな伝記は、誰も読まない ここからだよ やってみせろよ
母子草 母子草 その花も葉も なんということのない つまらないものです けれど 母子草という言葉の響きが こころにすなおにしみこむのです サトウハチロー
愉しいことばかりの人生が らしき人生とは思わない 死んじまいたいくらい辛いこと 泪も枯れるほど悲しいこと ぶん殴ってやりたいくらい悔しいこと そんなことの連続でも つかの間の安らぎがあれば 僕には愉しき人生さ
靴紐を強く結び直して 歩き始めよう 身も心も引き締まる
Access: