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矛盾

「芸術家は、矛盾する二つの考え方を抱き、両方を信ずる」


            (フィッツジェラルド)

posted by わたなべあきお | - | -

教材

『成功よりも失敗  勝利よりも敗北  順調よりも挫折・・・

 そこに素晴らしい教材がいっぱい詰まっている。』


      横浜高校野球部 前監督・渡辺氏


高校野球の解説の中での言葉・・・名監督だっただけに

言葉に重みがある。

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posted by わたなべあきお | - | -

心眼

きみたちには解るまい
  
日々打算に明け暮れる

きみたちには解るまい


理解せよとは思わない

理解してくれよとも頼まない

所詮

交わらない空間に

互いの心は住んでいるのだから


自分たちの最大限の経験から

速射砲は撃ち込まれる

白煙、黒煙、煙も見えず

それらに都度表情を変え

一喜一憂してみせる


僕は隠れない

僕は逃げない

弾が頬をかすめても

僕は動じない

逃げる姿勢もとらない

直立不動

一刀を握りしめ

心眼をかっと見開く



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泣き笑い

気を楽に持とう
そう思った矢先から
また考え込んでしまう
飛びぬけたと思ったのに
また振り出しに戻ってる

気を楽に持とう
暗い雲が湧かないように
シャットダウンを試みる
どこにそんな隙間があるの
グレーのミストに覆われる

気を楽に持とう
君の笑顔を思い出す
作り笑顔でもかまわないさ
両目の端を押し下げてみる
君は僕の心の中で泣いている

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背景の記憶(183)

ぼくは

あなたに

恋をする

一生涯

恋をする


あなたが

ぼくを

呼び続けたように

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背景の記憶(182)

・・・・・・・・・・・・・
幸子よ
寝覚めの寝台車の床に
期待もしないのに
あらわれたのはどういうわけなのか
わたしの純情な呼び掛けは影うすれた
しかし私の心性は
時をまって情緒にかえろうと志すのか
早く母を失った子であれば
それ故のみじめさは感じさせまいと
手許くるしくても
友人先輩の支えだけで
反抗に燃えて挙式するのもよいかもしれぬ
趣味としてそうおもったりする
秋夫が現在の境遇であればあるほど
(現世的な非難はいくらでもできる)
お前の末っ子が成人しかかって
いまだにおのれの道にためらっているままに
お前のいまわの際に
こども こども (たのむ)
と声なき口もとを動かした
十六年の坂を越えて
責をはたそうとしたというのか
わたしの愚痴っぽさは
人は聞き飽きる
秋夫は私に注意する
お前さんのは式にいうようなことばじゃないと
かまわないさ

魂はもはや歔欷でもなく叫喚でもないわたしはただ(おそらく)
見守りたいだけ
生あるかぎろ
そうしたいだけ
いまわの床で
台所にいた三歳の秋夫が大きな声で
  「まんまごせ」
とどなっているのを
「アレまんまごせとや」
と病にさいなまれているおのれのくるしみを瞬時忘れて口ばしった
その前後の呼吸まひで苦しく
生きたく苦しく
しかしわが子の無心の叫びは
母の耳をとらえて
瞬時業病との戦いを忘れたかにみえた

ああその秋夫と
東京に
素子の嫁入りにいってきたよ

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背景の記憶(181)

    特攻隊

叔父・谷川隆夫 海軍少尉(第十三期海軍飛行予備学生)

昭和二十年 四月 七日 特攻隊出撃・戦死 享年二十五歳

二階級特進 海軍大尉



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別離

喪服のあなたは美しかった

不謹慎な想いだったかもしれないが

清楚ななかに

一種独特の輝きを放っていた

故人は還らない

しかし

あなたのなかに

たしかに生きておられる

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posted by わたなべあきお | - | -

夕立

急に雲行きがおかしくなったので

僕は洗濯物を取り込みに

ベランダへ出たのです

そこに一匹のアブラゼミが

ひっくり返っていました

まだ生きているようだったので

僕はそっと取り上げ

樹のある方向へ逃がしてやりました

ところが

勢いよく羽ばたいたかと思ったら

隣の家のコンクリートのところに

またしても仰向けで落ちてしまいました

なんでまた・・・

僕は複雑な気持ちで

洗濯物を取り込みました

やがて

ザーっと大粒の雨が

風を伴って落ちて来ました

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遠雷

どこかでチリッと光ったような

僕はかすかな音として感じた

数秒後・・・

ゴロゴロ ゴロ ゴロ〜ン

雷神のお腹の

調子でも悪いような

なんとも情けないような音が

淀んだ空に

鈍く響いた

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posted by わたなべあきお | - | -

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