そうして、金だ。 この金銭というたわけたしれ物が、人類の生活に迷い込んできたのは何時のことだ? こいつが瀰漫していって、今日では仔細らしく徳義の基準になり呪縛になり、あきれ はてた暴威をふるっている。 我々の便益のために生れ出た筈のものが、我々を百方、金縛りにしているのである。 今、何の奉仕があるだろう? リツ子 その愛(檀一雄)
神が運んでくれる自然の転機を素直に受け入れるに 越したことはない。跳ぼう。思いきって。 この俺は、いつも断崖の頂きから飛び降りる名人 ではなかったか。 私は芸術の一番豊穣な来源を、(とめどない)という ところにおきたい願いを昔から持っている。 檀一雄 リツ子 その愛
名・利というものは如何に虚しいものか。 しかも人間は、この肉の体の存するかぎり、 その完全な根切りは不可能といってよい。 (森 信三)
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