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飛行機雲

夕暮れの西空に向って

一機のジェット機が銀色に光って

白い尾っぽを残しながら飛んで行く

まるで僕を置き去りにするように

また・・・僕に「ついて来い!」とでも言うように

数十秒後に消えてしまうその尾っぽに

僕は己を重ね見ていた


俯きながら

地面ではなく

空を見上げている己に

希望の欠片を見つけたような気がした





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posted by わたなべあきお | - | -

仮の宿

仮の宿の世の中で

もうひとりの自分が

目一杯生きている

投げ出しもせず

懸命に生きている

現世でのご褒美を望むわけでもなく

殊更来世を夢描くわけでもなく

もう一人の自分が

足掻き、這いずり、進んで行く
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もう一人の自分

あたかも十八の若者になったかのような

眼差しの自分がいる

そして、厚かましくも

語り掛けようとする衝動に駆られる自分がいる

引っ込み思案で

臆病者で・・・

そんな自分への後悔か

リベンジか

君はまぶしい

君は爽やかだ

君は・・・君は・・・

そして、僕はこんな思いに至る

あの時、思いのままに行動に移していたのなら・・・

自制とは何なのか

抑制とは何のため

後悔とはちょっと違う

もう一人の自分がいる

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朝焼け

色鮮やかな朝焼け

夜空の星たちとは違って

僕は何を祈りましょう

僕は何を託しましょう

少なくとも前を見て

必ずや上を目指して

蒼色に吸い込まれる前に

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posted by わたなべあきお | - | -

カラー

新緑の街路樹

その中に際立つ信号の赤

蒼空に浮かぶ白雲

その中に飛ぶ大鷲の飛行


僕の好みの色はダークブルー

あなたのはコバルトブルー

そして、あなたのはブラック&ホワイト


色は心の表出

それぞれの歴史

それぞれの願望


同じでなくてオッケー

対極で万全

補色の融合


明日は何色に染まるのでしょう

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火山

私は休火山か
それとも活火山か
少なくとも死火山ではない

心の奥底のマグマが
沸々と燃え滾っている

幽かな抜け穴は見当たらない
数ミリでも亀裂を確認すれば
鋭い感覚で抜け出てみせるものを・・・

何に対して怒り
燃えているのか
対外ではなく
己自身への憤懣なのか
それさえも自覚できない

外気に触れることなく
心内で膨張しきった時
私は存在し得るのだろうか

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住居におれば女になる

家に帰れば嫁になる

里に還れば娘になる

そうして

人気のない夜道の木の下では

胸にすがってくる恋人になる

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あなたに捧げるささやき

その人はまぶしい
僕は応対にひどく気を遣う

その人の得意な笑顔
一点の曇りもない爽やかな笑顔から
僕は逆に
宇宙の寂寥をよみとる
まるで星座のような

そうです
そしてまた
ひと知れぬ夜空の深淵に飛び交う
閃光のささやきを


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遠雷戯画

閉じていた瞼に
チカリ!
例の
前知らせをすることはしたさ

いくら待っても
なかなかやっては来ずに

二息も三息ものあと
どろん どろどろ どうん

そのとき こちらは どうだったか

うつら うつら  
テレビのつけっぱなし
気づいて止めに立ったら
眠りの精に突き放されて

わびしいどころか
狭苦しい
殺風景きわまる一人部屋の
闇のなかで

とり抑えても
とり抑えても
湧いてくる
不燃焼想念に辟易していたのだ

ぶるぶる ピリピリ
大きな屁っこを
こきやがったな

往生際のわるい
切れ味のわるい
大砲ぶっぱなして
すっ飛んでいった

once more

アパートの一室の
孤独の 闇の 真夜中に





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驕りの代償

  天下無敵の 大自信
  あたかも われは殿姫か

  母親譲りの 傲慢と勝ち気

  スミマセンとゴメンナサイとダイジョウブデスカ
  の常用語

  奇麗な着物の中の鎧と兜と脇差


  私は直言する

  己を客観視せよ
  恥を知れ
  

  顔相は簡単には変えられぬ
  幾十年の蓄積だ
  鏡をごらんなさい

  その顔にたじろいだなら
  まだ救われます



  


  
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