四股を踏む
心の中で
四股を踏む
意識して、意識して、
ズン、ズンと脳天に響く
ズン、ズンと下っ腹に響く
よし!ドンと来い!
待っているだけでいいのかい?
じゃあ、追いかけるのがいいのかい?
思考は薄っぺらの脳内を駆け巡る
自分A対自分Bでじゃんけんをした
何回勝負しても決着はつかない
AもBも自分だが
いかにも自分が強すぎる
ここで登場!
超客観視する自分様
答えは明快そうで複雑
是々非々、時と場合、押してもダメなら引いてみな、捨てる美学
天を仰ぐ
そして目を瞑る
暗闇の中に光明を見る
そう、それが答え
さよならも言わないで
去ってしまった あなた
さよならは 永遠の別れとでも言うように
言葉も文字も残さなかった あなた
かすかな希望の欠片さえも残さずに
まるでそうすることが 別れの美学とでも言うように
あの頃のかすかな余韻の場面の中に
希む光を見つけようとしたけれど
僕を拒絶するように 扉は閉じられていった
鍵止めのない扉が 非情の風に
ゆらゆらと悲しい鳴き声をきしませていた
長たる者は 嘆くでない
長たる者は 涙を見せるでない
長たる者は 愚痴をこぼすでない
長たる者は ひたすら忍ぶべし
長たる者は 夢の中で息をする
たとえ貧しき一軒のあばら家の主であろうとも
心の旅に出よう
行くあてのない旅へ
オロオロと彷徨いながら歩き続けよう
この杖はありがたい
女性たちの泪の結晶だから
この杖は決して折れはしない
女性たちの母性と純情の塊りだから
知己を失えば
呆然自失の世界
魂の抜け殻
それでもなお生き続けてこそ
知己の知己たる所以なのか
恩師が亡くなられて、自分でも思い出せないくらいに、呆然としていたらしい。
それほどにショックは大きかった。そして改めて、師の偉大さを思い知った。僕と言う人間をシトレートに受け止めて下さった。そして時に、まるで同世代であるかのように酒を飲み交わしてくださった。
さて、恩返しは何なのか?どうすべきなのか?その答えが重い。
無言の別れが
この時代の象徴であるかのように
あなたは忽然と消え去った
まさしく 足跡も残さずに
言葉とは何ですか?
礼儀とは何ですか?
それらさえも超越するものとは 何ですか?
裏を返せば
自分も同じじゃないか
他人様の慮りを期待する利己の精神
いやいや
それ以上の何かかが
あなたの身に起こっているに違いない
昔とは違った意味で
生きにくい時代の到来だ
船の別れは寂しすぎる
殊更にテープの役割が物悲しい
五本も十本も持った人とは離れて
僕は船の尻の方へ移動した
一本のテープの先のひとりの人
まるで永遠の別れでもあるかのように
悲しい顔をしている
目元までは確認できないが泣き顔には間違いない
切れないように注意して
僕はテープの弛みを無くして
きゅっきゅっと引っ張ってみる
同じ反応が伝わってくる
何の言葉を乗せたのやら・・・
同じ想いとの確信を持って
僕は両手を頭の上で思いっきり振る
テープは切れても心の糸は切れはしない
悲嘆の先にあるものを見つけに行こう
目の前の野山は永遠に続くわけじゃない
登って・・・下りて・・・
登って・・・下りて・・・
晩の泊りの岩陰で
あなたに出逢った夢を見た
あなたは病に臥せっていたのだろうか
声をかけるには躊躇した
遠い山端の薄明りの中に
あなたの寝顔は消えて行った
♪just like a boy・・・
♪痩せこけた頬のままで・・・
思わず浮かんだ歌詞とともに
僕は立ち上がり、歩き始めた
誰も 独りじゃない
どんなに滅入っても 立ち直れる
絶望の淵からでも・・・
あなたも 独りじゃない
だから
僕も
独りじゃない