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背景の記憶(107)

♪いたいけな眼差し 投げ続ける君は
 ひたむきな心を 隠そうともしない
 
 変わらない憧れを 背中に映し
 逢うたびに君は 美しくなる
 限りなく蒼くさい 君の夢を
 裸になって抱き 抱きしめたい

 移ろいの多さに かすり傷をおそれ
 誰となく心に 壁を立てる中で
 
 かげりない輝きを 背中に映し
 逢うたびに君は 美しくなる
 ためらいも疑いも 君の夢に
 地平越えて飛び 飛び散って行く

 気負わずに熱い 君の足音がはずむ
 爽やかに熱い 君の歌声がひびく
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

              小椋  佳(逢うたびに君は)              

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背景の記憶(106)

S先生の英会話教室のメンバーに、看護婦のHさんがいた。
頭のてっぺんから声が出ているようなひとでチャキチャキ娘?だった。
帰りに喫茶店へ誘われた時、「わたし・・・フランスへ行くの」と聞かされた。
(フランスなのに英会話かよ!)と思ったが、言わないでおいた。

次の機会に「今度の日曜日、休みだから奈良へ行こう!」と誘われた。
何から何までリードされっ放しで、まるで幼稚園の先生と園児のようだった。
そんな時間あったのかと思うくらい、豪華なお弁当も用意されていて感激ものだった。
僕は、大阪に住む友人とアメリカ往きの準備中だったので、無駄遣いは許されず、ひたすらバイトバイトの連続だったから、この小旅行はちょっと心に迷いを生じさせるような出来事だった。

そのわずか数カ月後、彼女が本当にパリに出発したと聞かされて、僕はビックリ仰天だった。
オンナは強い!それはそうと・・・そもそも彼女は何を目的としてフランスへ行ったのだろうか?料理?ファッション?聞く前に行ってしまった。

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背景の記憶(105)

六畳一間の安アパートには、ほんと何もなかった。二畳に満たないキッチンと階段上の押入れ。狭いベランダの奥にトイレがあった。食卓兼机代わりの電気コタツ。部屋の三分の一を占領するボストンのオーディオセット。友達から譲り受けたギター。布団はなく寝袋がひとつ。

壁にはミックジャガーとシルビーバルタンの大型ポスター。ジーパンが4〜5本。ちょっとおしゃれ用のベッチンのブラウンスーツが1着。Tシャツとボタンダウンのシャツが数枚あるだけだった。ウエストは70センチ〜今では想像もつかないガリガリだった。無理もない・・・家出野郎のさすらい人生で太る余裕などあろうはずがなかった。

階下にはバスガイドの姉妹がいて、隣には若夫婦が住んでいた。夜中の地震?と声に慣れるまでは時間がかかった。田舎者で奥手な僕には、それなりの時間が必要だったわけだ。持つべきは適当なレベルの悪友だ。

西側の窓から見える夜景が素敵だった。京都タワーとその周辺のネオンサイン・・・しばし現実を忘れさせてくれた。タバコは何を吸っていたんだろう・・・パーラメント?ショートポープ?どっちにしてもファッション的小道具だったからあまり覚えていない。

風邪でダウンした時は、寝袋の中で犬のように眠り、ひたすら回復を待った。三日三晩動けなかったこともあった。人間の持つ自然治癒能力には、なぜかしら確信めいたものを持っていた。発汗するまでが勝負で、びっしょり汗をかいた後は驚くほどの壮快感だった。24.2.14京都タワー.jpeg

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背景の記憶(104)

いつも言葉を探している
これだ!というぴったりの言葉を
でも・・・見つからない
胸のつかえと同じで
出そうだけれど出てこない


野に咲く花の風景を
そのまま届けることができたなら
言葉なんていらないんだけれど
頬をやさしく撫でるこの風を
そのまま届けることができたなら
言葉なんて・・・a0030958_20201834スノーフレーク3.6.jpg

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背景の記憶(103)

脆く崩れ落ちる城跡のような崖だった
娘はひょいと跳ねるように岩場の隙間に飛び降りた
そして蟹歩きのようにして斜めに下りて行った
僕はその高さと石の脆さに怖気付いて
瞬時には娘の後を追う事が出来なかった
それでもどんどん置いていかれる距離に促され
僕は意を決して下降を試みた

力を入れた右手の岩がガラガラッと谷底へ落ちて行った
思わず胸を岩肌にくっつけて
僕はしばらく動けずにいた
目だけで娘を追うと
彼女はもう随分と下の方をゆっくりと前向きに歩いていた
此処さえ抜ければ道が開けているように思えた
深呼吸をして僕はずり落ちるように横歩きを始めた
またしても掴んだ岩が脆くその感触を奪って行ったけれど
もうさっきのような恐怖感は失せていた

やがてまともに歩ける場所にたどり着いた時
岩陰に隠れていて
不意にワッと言って顔を出した
娘の笑顔を見た


娘の手術の日の夢だった・・・24.2.10.jpg

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打破

エイッ! ヤッ!

エイッ! ヤッ!

心の中で

握り拳を突き出す

取り囲まれし

黒い渦の中で

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後継

僕が

防風林となりましょう

力尽きて

朽ち果てたなら

君が

木となり林となりなさい

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坂の上の家

生まれ故郷の坂道・・・
沢蟹の這う石垣
いつも澄んでいる湧水の水汲み場
竹や雑木や柿木のトンネル
やっと辿り着いて振り向けば
パッと開けた入り江の景色

松江の実家の坂道・・・
家出して一度も住まなかった家
あるべき勉強部屋もなく
南ケ丘の地名も虚ろに響く
心と同じ中途半端な高台

日吉ケ丘の坂道・・・
バイト帰り
ジーパンの前ポケットに親指をひっかけて
咥えたばこでコツコツと歩いた坂道
安アパートに帰り着き
電気も点けず西の窓を開ければ
はるかにそそり立つ京都タワー




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実践人

「挨拶は、人より先に」

「返事は、ハイッ!と元気よく」

(はい、はい・・・)「返事は一回!」

「姿勢が悪い、背筋を伸ばして!」

「履物をちゃんと揃える」


これらは全部、親父の躾だったんだな。

そして・・・

その元が、<森イズム>にあったことは明白だ。

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さすらい

「今日」は

「未来の仲間」なのか

「過去の仲間」なのか


                          絲山 秋子(不愉快な本の続編)

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