かなしみ
あの青い空の波の音が聞えるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった
谷川俊太郎
振り向けば寂しい
君の住むふるさと
若い日の涙は
明日への涙か
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
東の空に陽が昇るまで
とてもとても遠い旅路さ
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
宝石箱に入れたままの
想い出たち
もう指や首を飾ることなく
ただ想い出色に錆びていく
ふっと息を吹きかけて
そっと優しく撫でてみる
くすんだ錆の隙間から
あなたの笑顔が蘇る
あの笑い声も あの温もりも
僕は駆け出したい
僕は叫びたい
僕は飛び込みたい
想い出という虹色の空間
僕は、心のシャッターチャンスを持っている
その実力にはかなりの自信も持っている
僕はポーズは求めない
自然に振り向いた瞬間を写し撮る
それこそが貴女だから
その眼差しこそが真実だから
人生は
いつも青春
いつも青春
いつも心の流離い
流れ星 いくつ数えた?
いくつ想いを託した?
そのままで
俯かないで
涙の海に沈むから
ほら 聴こえてくるだろう
流離いびとの子守唄
アラーム音が鳴り響き
心の中を支配する
僕は最大限に手を伸ばし
解除ボタンを押す
けたたましい音の余韻が
所々で木霊する
またしても僕は
際どく危機をすり抜けた
繁華街の人混みの中で
まるでズームアップ映像のように
君は現れた
僕は殊更レンズを覗いていたわけでもないが
まるでプロのカメラマンのシャッターチャンスのように
見事に周りはぼやけて撮られ
君だけがその中に浮かび上がっていた
顔を上げた瞬間
君はもうそこには居なくて
歩く先を追いかけてはみたが
やはりあの素敵なロングヘアーは見つからなかった
あきらめに肩を押されたと思ったら
君は僕の真後ろにいて
不思議な笑顔を向けていた
首を傾げて、腕組みをして見つめる瞳の中に
僕は吸い込まれるような衝撃を受けた
振り向けば寂しい
きみの住む故郷
若い日の涙は
明日への涙か
暗闇の彼方に
口笛か流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
東の空に日が昇るまで
とても とても遠い旅路さ
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
心荒めば
言葉も荒む 顔も険しくなる
心穏やかなれば
言葉も穏やかになる 表情も柔らかになる
抜け出せたかな 心の嵐
きっかけは 君の優しい微笑だ
そっと包み込む思いやりだ
昨日の自分に サヨナラしよう
今日の自分を 大切にしよう
明日の自分を 君に捧げよう