二度とない人生だから
二度とない人生だから
一輪の花にも
夢幻の愛を
そそいでゆこう
一羽の鳥の声にも
無心の耳を
かたむけてゆこう
二度とない人生だから
つゆぐさのつゆにも
めぐりあいにふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう
二度とない人生だから
のぼる日しずむ日
まるい月かけてゆく月
四季それぞれの
星々の光にふれて
わがこころを
あらいきよめてゆこう
坂村真民


パーフェクトは好きじゃない
言い訳じゃなくて 好きじゃない
未完成がいい
完成に至るステップがいい
その間の努力がいい
結果はご褒美だ
世間的に良くても悪くても
僕にとってはご褒美だ
僕は言い訳は嫌いだ
ほとんどしない
いや 偶に稀にはある
腹に据えかねた時には
幾つになったって
勝利や達成は 素直に嬉しい
他人にはちっぽけなくだらないことだって
僕には宝石のような歓びもあるんだよ
挫折からの復活
我慢の蓄積に与えられたご褒美
シーソーシーンの鮮やかな結末
天は双方に拍手を分け与え給う
両者の固い握手に
賛歌が流れる
おめでとう! ありがとう! 万歳!
僕は久しく忘れていた
勝利の美酒に酔う
その甘辛い薬酒は
老いた肉体に染み渡る
青春万歳!
永遠の青春に 万歳!

少し時間におくれてやってきても
暖かく迎え 叱ったりせず
わけは あとで聞くことにしよう
まちがって皿を割ったとしても
目を角だてて 責めたりせず
あやまちは 許してやろう
苦しんでいる人があったら
春の霞のように やわらかに包んで
幸せを祈ってやろう
どんなにかっとなることがあっても
通り過ぎる雨のように
しばらく時を 置くことにしよう
みんな誰でも 淋しいんだから
夏の夜空の 花火のように
あかるく いたわりあってゆこう
深い愛がなかったら
何一つ できないから
蜂が 蜜を集めるように
力を逢わせて仲良くしてゆこう
念じていたら
必ず 花は咲くのだと
フラフラせず
グラグラせず
一筋に 信じて生きてゆこう
神様 仏さまと
しっかり約束して
二度とない人生を
木々のように 毅然と立ち
悪に負けない 自分を
作ってゆこう
坂村 真民
