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お と な

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    お と な


 見えない足枷

 僕はひたすら走って
 転けてしまった

 見えていたゴール
 手招きをするあなた

 僕はひたすら走って
 テープを切ったと思ったら
 そこは蜃気楼のように
 消えていた

 両腕を広げて待っていたあなた
 ……なのに

 僕はふたたび
 走り出す余力は 
 もうまったく失せてしまっていた

 
 

posted by わたなべあきお | - | -

手招き

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   手招き


   塀がある

   川がある

   僕は登れない
   僕は渡れない

   大人になって
   そこへ行ってみたら
   すぐ越せる塀だった
   すぐ飛べる川だった

   あなたが手招きしてくれてたのに

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あなたに

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    あなたに

書物のなかに海がある
心はいつも航海をゆるされる

書物のなかに草原がある
心はいつも旅情をたしかめる

書物のなかに町がある
心はいつも出会いを待っている

人生はしばしば
書物の外ですばらしいひびきを
たてて
くずれるだろう

だがもう一度
やり直すために
書物のなかの家路を帰る

書物は
家なき子の家


    【寺山修司】

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明日に向かって

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何気ない毎日が 
風のように過ぎていく

あの日の眼差しも
あの日の囁きも
遠くへ遠くへ消え失せてゆく

思い出に浸ることは
涙と嘆息の誘い水にはなっても
明日の光とはなり得ない

どんなに悲しかったことだって
今となれば貴重な思い出だ
今日を生きる糧にさえなる

僕は君にとっての
そんな存在であり続けているだろうか
心の灯的存在のままだろうか
雄々しく明日に向かうための希望の源泉だろうか

僕はそのように生きているのだが……

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山.川

人 山を見る

我 川を見る


偏屈ではなく 頑固でもなく 意地っ張りでもなく

己の信じる道を行く


その先で交われば

それはそれで良し


交わることなく

捻れの位置ならば

それはそれで また良し

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元気です

♪夕暮れ時には想いがかけめぐり
三度目の秋に 何かが揺れている
時間をとめても 過ぎゆくものたちは
はるかな海原に ただよい夢と散る
かすかに聞こえた やさしさの歌声は
友や家族の 手招きほどなつかしく
木の葉にうずもれて 季節に身を任す
それでも 私は私であるために
そうだ 元気ですよと 答えたい
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このころ……

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嘆くなら

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     【坂村真民】

坂村氏との共通点が一つだけあります。

それは………

「私は薬も飲まず、医者にもかかりません。
病気は全部自分で、直治すんです。」
それから先は
ちょっと違うのだが……
基本は一緒です。
僕は、基本的に……【自然治癒能力】を信じています。
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架空の夢

心は青春時代に舞い戻り

恋歌を口ずさみ

躍動の汗を懐かしむ

映画のフィルムが途中で千切れたように

それから先は映写機がカラカラと音をたてて廻るだけ

その後の半世紀は空転の戯言だったのか?

光の点滅に合わせるように

あの人が、またあの人がフラッシュバックで甦る

君は生きているか?

肩組む君は何人いるのだろう?

片思いのひとはどんな人生行路だったのでしょう?

心の中の映写機が架空の夢を描き出す

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時には母のない子のように

時には母のない子のように
だまって海を見つめていたい

時には母のない子のように
ひとりで旅に出てみたい

だけど心はすぐかわる
母のない子になったなら
だれにも愛を話せない

時には母のない子のように
長い手紙を書いてみたい

時には母のない子のように
大きな声で叫んでみたい

だけど心はすぐかわる
母のない子になったなら
だれにも愛を話せない


   【寺山修司】

…………………………………………………………………………………


僕は母のない子になったから……

それから先は言えない

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孤独

   何とて鳴くや
   庭のこうろぎ夜もすがら、
   雨ふりはそへば尚更に 
   あかつきかけて鳴きしきる。
   何とて鳴くや
   こうろぎ問へど答へず、
   夜のみならで、
   秋ふけゆかば昼も鳴く。
   庭のみならで台どころ、
   湯どののすみにも来ては鳴く。

       【永井荷風】

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