<< 2024/11 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

背景の記憶(251)

三十年前の父だ

柱にもたれ

膝を抱えて

顔を埋め

動かず

黙考していた


何を思い巡らしていたんだろう

足元には

紙と鉛筆が置かれていた

僕には読み取れない

文字が散らばっていた


ただ

「視姦」という一語だけが

読み取れて

心の片隅に引っかかった




小説の中の言葉なのか

現実の中のそれなのか

僕には判断しかねた


義母の入院先へ通う

父の心の動きに

薄ぼんやりとした

怖れを抱いた記憶がある


29.6.29-2.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(249)

これはずいぶんと後になって分かったことなんだが・・・

S先生は、姓が<柴田>で、旦那はなんと!当時超有名なロックバンド「村八分」

のヴォーカルだった。彼がアメリカを放浪していたころ知り合ったみたいだ。

当然ながら田舎者の僕には無縁の世界だったのだが、恰好だけはヒッピーまがいで

ローリングストーンズにかぶれていたのだから、知っていてもよさそうなものなの

だが、アンダーな世界だったのだろう・・・まったく知らなかった。

それに彼女もまったくそのことは言わなかったし・・・。

加えて・・・フォークへ移行する端境期でもあって、すれ違いのような世界だっ

た。

ギャップが織り成す人生模様

ひとは何処で誰に逢うかわからない。

29.6.16-3.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(248)

S先生はミセスとはいえ、僕と同世代だったわけなのだが

田舎出のぼんくらには、はるかに年上に見えた。

でも逆にアメリカ人の先生には、純粋無垢な青年と映ったのかもしれない。

肝心の英会話以外でも、たくさんのことを教えてもらった。

まさに手取り足取り・・・。

そこには、外国人そして女性という微妙なクッションがはたらいて

ちょっと危険な領域も、僕には鵜呑みに信じられる安心感があった。

それがまた、先生には意外であり新鮮であったのか・・・

急速に距離が縮まって行った。

スバル360でのドライブや、薄暗い喫茶店での課外授業や

プライベートルームでの微妙な関係や・・・

短期間ながら、なんと多くのことを学んだことだろう。

二十歳前の僕を知る人間からすれば、まさに別人と見えたことだろう。

一方先生は、日本的な原石を刻み磨く喜びを持ったのかもしれない。

今になって思えば・・・の話である。

29.6.15-2.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(247)

待ち合わせの場所に

きみは、カンカン帽を被って現れた

そしてコンタクトからメガネへ

なかなかこのファッションセンスは

僕にはかなわない

特異なものがフィットして、違和感を感じさせない

これは(地)の問題だな

もっと自分を内面から磨かなきゃ



29.6.15-1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(246)

後悔先に立たず

何を言っても、言い訳になってしまう悪循環


♪消えない過ちの 言い訳する前に

 貴方に もっと 尽くせたはずね

 連れて行って 別離(わかれ)のない国へ

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何処にあるの 悲しまない国

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        「ごめんね・・・」 高橋真梨子

29.5.31-1.jpg

だから・・・

続きを読む>>

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(245)

face bookに載せている僕の似顔絵の原点は45年前にある。29.5.30-3.jpg

北〇〇のミサイルが隠岐諸島の数百キロ先に・・・というあの隠岐の島で、

僕は、国の離島振興策である港湾建設に従事していた。・・・と言えば

聞こえはいいが、孫請けのまたその下〜というわけで・・・。

29.5.30-4.jpg

なぜ涙を流しているのか?

なぜ俯いているのか?

言い訳がましいかもしれないが・・・

なにくそ! 今に見ていろ!

の裏返しだったのかもしれない。

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(244)

机の中に何か白い包みがあるのを見つけた。

深い事情も知らず、僕は「これナニ?」と声を上げた。

教室の何人かが僕のそばに集まってきた。

中にはエンピツと消しゴムが入っていた。

一瞬、背後に目線を感じた時には、もう遅かった。

彼女は廊下へ飛び出して行った。

小学生時代、最大のミス!
29.5.16-1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(243)

♪いつもの小径で 目と目が合った

 いつものように 目と目を逸らせた

 通り過ぎるだけの ふたりのデート29.5.2-2.jpg

言い出せないもどかしさ・・・気恥ずかしさ

今、思い返せば

そんな場面を経験したことが

宝物に思える

posted by わたなべあきお | - | -

お・と・な〜 背景の記憶(243)

♪さよならを言えただけ

 君は大人だったね・・・


これは後から、そうずっと後から思えることで

その時に、こんな感慨は抱けるはずがない。

非情と思いやりは隣り合わせのものなのか。

君に、十年先の僕の姿を予測できたのだろうか?29.4.23-2.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(241)

僕は一番が嫌いだった。いや、一番には逆立ちしてもなれなかったのだから

言い方を変えれば、二番、三番というポジションが居心地よかった。

僕の小学校時代は三学期制で、一学期の学級委員は一番賢いやつ(がり勉くん)が

任命されていた。三年生から六年生まで、僕はずっと二学期の委員だった。


大方が貧乏の時代だったけど、僕は幼稚園にも行けず、ランドセルも買ってもらえ

なかった。だから、風呂敷に教科書なんかを入れて登校していたのだけれど、

それも恥ずかしくなって、全部教室の机の中に置いて帰るようになった。

あのころ宿題と言うものがあったのかどうかも記憶がないけれど、適当に切り抜け

ていたのだろう。


教師の父は、そんな僕を知ってはいたのだろうけれど、諫めるようなことはまった

くなかった。その代わりにやたらと「本を読め、本を読め」と言われた。

そこそこの年齢になってからも「わからなくてもいいから、最後のページまで

読め」「英語の原書を読め」と口うるさかった。

29.3.17-2.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top