断定というのは
余程の確信と裏付けがないかぎり出来ることではない
それを承知か否か、言葉にし、行動にも表してしまえば
その結果がどうであれ、当事者に跳ね返ってきて当然だ
そこで居直れば・・・
嘘の上にまた嘘をつき
その重圧たりや想像を絶する
恥の上塗り
自分で自分の首を絞めるとはこのことだ
リアリストのあなたからすれば
滑稽極まりない話でしょうが
僕は大真面目で夢の世界に生きているのです
夢空間・・・何だってできちゃいますよ
絵空事ではなくて、超リアルな疑似体験の世界ですよ
向き合う相手は、超大国の大統領だったりします
超有名な一流のプレーヤーだったりします
僕は大統領の後頭部に銃口を押し当てます
僕は劇的なサヨナラ満塁ホームランを打ちます
架空の世界は現実とはかけ離れた存在ですが
スピリットは時空を超えて飛躍躍動しまくります
それでこそドリームです
それでこそカムトウルーです
親父の残した想念の欠片を拾い集めて
せめてもの現実化を試みているのです
真剣勝負を挑みなさい
たとえ実父、実母であろうとも
己の信じるところをぶつけなさい
僕は・・・そうでした
家を出ました
いろんなことにぶつかりました
辛酸を舐めつくしました
何を遠慮することがありましょうや
堂々と論破せよ
この意気地なし!
甥っ子、姪っ子、姪孫に言っているのです
今言わないツケは、それに倍してあなたに返ってくるのです
本来、悦びは無意識のうちに、心の中から湧き上がってくるものだろう。
しかし残念ながら、自力で掴んだものと勘違いをして、本心からの悦びを持て
ない人は、この世にはわんさかといる。そしてその傲慢さは、図らずも顔にでる。
こればかりは何としても隠せない、見えてしまう。
ちょっと角度は違うが、昔ブラックな世界に身を置いていた人が、僕の職場に
就職してきた。かなりの技術者で、会社にとっては大きな戦力となったわけだが、
僕が訳アリで退職した時、彼も一緒に職場を離れ、僕と一緒に共同で事業展開を
することになった。その彼が酒を飲んでいる時に、真剣に言った。
「ナベちゃんは、穏やかな顔してるなあ・・・俺は詳しいことは言えないけど、
ちょっと危ない世界に身を置いていたから、そのころのツケで人相が変わって
しまったんだ。毎晩鏡を見ては、眉毛の両端を押し下げてるんだけど、なかなか
なあ・・・」としみじみと呟いた。
僕は正直どう答えていいか分からなかった。顔相にしろ手相にしろ、そう簡単
には変わるものではないだろう。住む世界を変えたからと言って、真っ新で
やり直せるわけでもない。常に何かしらの影が付きまとっている。数年で袂を
分けたわけだが、単身でやり抜くことができたのだろうか?
他人事ではない、僕には僕なりの悩みがあった。丸さ、優しさだけではクリア
できない現実の厳しさが突き付けられてきたのだ。だれかが冗談半分に言った。
「やっぱり、ナベちゃんは学校の先生になるべきだったな。商売人はムリ!」
ウソがつけない、ハッタリがきかない、冒険心がない、・・・ない、・・・ない
ないない尽くしの人生行路。それでも僕は歩いてゆく。
あれは僕が五十前くらいのことか・・・
仕事仲間とスナックで飲んで歌って、恒例の「そっとおやすみ」のチークダンスも
終わって、みんなが帰ったあと、一人残ったタクシー待ちの僕にママが言った。
「ねえ、ナベちゃん、○○さん離婚したの知ってる?」
「えっ!そうなの、なんで?」
「う〜〜ん・・・・あなたが原因みたいよ」
「え〜〜、まさか!ヂュエットはしたことあるけど、手も握ったことないのに」
「まったく、ナベちゃんは鈍感なんだから」
「そう言われてもね・・・」
「女心って、そういうものなのよ」
「わかんね〜な・・・」
「ほら、タクシー来たわよ」
「なんか、酔いがさめちゃったな・・・」
「まっ、そういうところがいいんだろうけどね・・・あっ、でも電話とか
しちゃダメよ。これは二人だけのハ・ナ・シ」
タクシーの中で、僕は考えていた。
「似たような話・・・二人目だな・・・」