加代「(あーあと大きな溜息をついて)一日長いよ長野県」
加代、ポップコーンを一つとって食べる。
健吉「こういう暮らしが秋田県〜じゃないだろうな」
加代「もういっぺんお店に出ようかな」
健吉「それ言われると大分県」
加代「・・・・・(目を白黒して考えて)〜あたしも年を鳥取県」
健吉「いやいやまだまだ和歌山県」
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健吉「お前の方から岩手県・・・こういう言い方流行ってるんだよ」
「冬の運動会」 向田邦子
かなり昔だけど、漫才のWヤングのネタでこんなのの連発があったなぁ・・・。向田作品にも影響を与えたということか?
僕たちも真似してやったものだ。
玄関先に咲いた〜くちなしの花
数夫はいつも肝心のことは言わない。
大事なことは、心とからだの奥に仕舞って流れにまかせて生きてゆきのが好きなのだろう。
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姉の心とからだがまだ住んでいる男のそばで苦しみ澱むより、川の流れではないが、海へ出て、別な世界で生きるほうが、世間で言うしあわせかも知れない。
しかし、握り返してくる数夫の指の力を信じて、もうすこし、ここに居たいと素子は思った。苦しい毎日だったが、苦しい時のほうが、泣いたり恨んだりした日のほうが、生きている実感があった。
これも幸福ではないのか。
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「幸福」 向田邦子