薩摩の女(ひと)

偏見ではなくて、なんともトランジスターな娘だった。

背丈は僕の肩までもなかったかもしれない。

九州女らいしく明るくてハキハキしていて面倒見が良かった。

五つも年下なのに、時々お姉さんのような振る舞いをして、僕を戸惑わせた。

達筆だった。性格そのままの男性的とも思える字を書いた。

僕は左利きを無理やり直されたものだから、全部に力の入った画々の字しか

書けなかった。でも、それはそれで彼女は僕の字を褒めた。

「字は体を表す」なんて、解ったようなことを口にした。

送別会となってしまった会社の新年会の時、「青春時代」をデュエットした。

歌の題名の通り、複雑怪奇な青春時代の一つの幕が下りた。



24.11.29-2.jpg

posted by わたなべあきお | comments (0) | trackbacks (0)

コメント

コメントフォーム

トラックバック


▲page top