偏見ではなくて、なんともトランジスターな娘だった。
背丈は僕の肩までもなかったかもしれない。
九州女らいしく明るくてハキハキしていて面倒見が良かった。
五つも年下なのに、時々お姉さんのような振る舞いをして、僕を戸惑わせた。
達筆だった。性格そのままの男性的とも思える字を書いた。
僕は左利きを無理やり直されたものだから、全部に力の入った画々の字しか
書けなかった。でも、それはそれで彼女は僕の字を褒めた。
「字は体を表す」なんて、解ったようなことを口にした。
送別会となってしまった会社の新年会の時、「青春時代」をデュエットした。
歌の題名の通り、複雑怪奇な青春時代の一つの幕が下りた。
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