背景の記憶(345)

「むっつり助平」という言葉がある。

僕はその言葉をもろにぶつけられたことがある。

彼は当時の一方的片思いの彼女が、僕に気があると邪推してのことだった。

そのような事実はあろうはずもなく、僕はただ耐えるしかなかった。

生来、その方面では鈍感極まりない僕は??であった。だって当の本人とは

言葉も交わしたこともなかったのだから……。

しかし、事実はそのまた逆だった。

対象の彼女との距離が急接近したのだった。

いつもの習性で、僕は遠くから見ていた。人も物事も……。

ところが、彼女は違っていたのだ。

僕の形無き習性を、もろに受け止めてしまったのだった。

成就と言えば成就、悲劇と言えば悲劇。

またやらかしたか!

これは卒業したはずだった。

自分の心の中だけのドラマのはずだった。

不思議な現象だ……。

意は現に成る。

この時ほどテレパシーを如実に意識したことはない。

posted by わたなべあきお | - | -

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