誰とは言わず
みんな心を病んでいる
ある地方都市で詩人としての地位を確立した彼女も同じだ
「昼の明るさの中では 無心を装っても
夜の暗さの中では 身を縮め震えながら
点滴のように流れ打つ
時計の音を数える」
そんな彼女と同窓会で隣席となり
同病というのか?
相通じるものがあり
廻りの者には意味不明の会話が
二人の間では
互いの救いの泉のように弾んだ
誰もが羨むほど
明らかに跳んでいた彼女
誰もが訝るほど
心に壁を立てていた僕
一見
かけ離れた心象が
微妙な細い糸で繋がっていたのかも知れない
その絆ともいえるものは
この年になっても
年賀状の短い自筆の言葉に見え隠れする