早秋

夏の太陽に晒された
鋼鉄色の蝉
樹液のない白いコンクリートに
横たわる


何を求めたのか
何を知ったのか
気忙しく鳴き続けた力も失せ
夏の暑さと 短い一生
我慢して身動きしない


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夏の終わりの台風に
この世での時を終え
舞い落ちる草花
茶色に染まった柊の葉の
最後の呼吸に身を委ね
葉の上で何も語らず 静かに眠る


ざわっと
大きな風がどよめくと
夾竹桃の散り花がお供して
次の季節に飛んでゆく


夏の残光に
不思議に光る鋼鉄色は
生あるものに
命のメッセージ

                詩集「透きとおった ときよ」 栗田好子  より
                                (彼女は高校三年生の時の同級生)
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posted by わたなべあきお | - | -

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