2011/10/22 (土)
09:52 |
なべちゃんエッセー
夏の太陽に晒された
鋼鉄色の蝉
樹液のない白いコンクリートに
横たわる
何を求めたのか
何を知ったのか
気忙しく鳴き続けた力も失せ
夏の暑さと 短い一生
我慢して身動きしない
夏の終わりの台風に
この世での時を終え
舞い落ちる草花
茶色に染まった柊の葉の
最後の呼吸に身を委ね
葉の上で何も語らず 静かに眠る
ざわっと
大きな風がどよめくと
夾竹桃の散り花がお供して
次の季節に飛んでゆく
夏の残光に
不思議に光る鋼鉄色は
生あるものに
命のメッセージ
詩集「透きとおった ときよ」 栗田好子 より
(彼女は高校三年生の時の同級生)
posted by
わたなべあきお | - | -