あのころを思い出せ

あのころを思い出せ
終バスも過ぎたバス停で
待ち続けた五歳の夜

あのころを思い出せ
湖岸にふたり腰かけて
待ち続けた瞬間

あのころを思い出せ
海辺の小舟に腰かけて見上げた
満天の星空

あのころを思い出せ
寝袋にくるまって見上げた
果てしない星雲

あのころを思い出せ
六畳一間のアパートの窓から
見つめ続けた町の灯り

あのころを思い出せ
洗いざらしのジーパンと
ブーツで賭けた坂道

あのころを思い出せ
飲むほどに冴えわたり
天に向かい叫んだ飯場の夜

あのころを思い出せ
遠ざかる島影に残した
果てしなき慕情

あのころを思い出せ
灯りを消した湖畔の宿に
残し残された誓いの余韻

あのころを思い出せ
鍵盤を壊れるほどに叩いた
熱くも青い純情

あのころを思い出せ
子どものように無邪気に
追いかけっこをした帰り道

あのころを思い出せ
事故で臥せった枕元に届いた
あなたの優しい笑顔の写真

あのころを思い出せ
雨に濡れて歩く僕に
そっと差しかけられた赤い傘

あのころを思い出せ
引っ越しを手伝った夜
思いもしなかった次の約束

あのころを思い出せ
コスモス畑の真ん中で振り向いた
長い黒髪のきみの笑顔

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posted by わたなべあきお | - | -

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