服は着られればいい。

風呂敷は包めればいい。

人々の生活がせちがらくなると、

安ければいいという風潮が、一種の社会哲学となっていく。

だが、それはやがて人間や社会からも

大事なものを奪っていく。

「物」を見る目というのは、人間を見る目でもある。

優れた「物」の価値を解せない人は、

「他者」をも粗末にするようになっていくのだ。

            (三十光年の星たち・宮本  輝)

posted by わたなべあきお | - | -

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