学生街の小さな公園のベンチで
いつも君が先に待っていた
ふたつ手前の角を曲がった時
急に両手を広げた君が現れて
僕は驚いた
あなたに決まってるでしょ
とでも言うような自信たっぷりの笑顔で
君は僕の手を握りしめた
クラブの帰り道
僕は先に歩き出し
君の視界を外れたとき
速足で歩いて
マンションの壁裏に身を隠した
君は自転車を男乗りのように操って
勢いよく僕を追い越して行った
異変に気付いて君が振り返った時
今度は僕が両手を広げて歩き出した
もう・・・とでも言うような表情で
君は自転車を反転させた