あのとき
たしかに君は笑っているように見えたんだけど
今思えば
どことなく淋しさを含んだ影があったような
実は僕も
言いたかったことが言えなくて
面白くもない世間話をして別れてしまった
影の源が
そんなに深刻なこととは思いもしなくて
僕もまた
心の嘆きを打ち明ける勇気がなくて
二人とも
道化師のように振舞ってしまったんだね
あれから
君は僕の前から永遠に消えてしまって
僕だけが
独り取り残されてしまった
夏が来て
うだるような暑さの中に
僕は君の涼やかな笑顔を想い出す