嫉妬
遠隔地での交通事故で、昏睡状態だった僕に速達の手紙が届いた。
眼を覚ますと、ずっと付き添ってくれていたらしい貴女は、
「お手紙よ」と差し出した。
「開けてあげましょうね」
「あら、写真よ・・・キレイな人ね・・・」
「とっても心配してくれてるのね・・・」
しばらくの沈黙の後
「この幸せ者!」
貴女は僕のおでこを人差し指で突っついた
あの時の写真が一枚もない。
あの時のどころか・・・
あなたの写真が一枚もない。
ブロークンハートを象徴するように・・・
お産のため帰省していて
僕を看病してくれたあなたは
その後数年間、横須賀から
偽名で手紙をくれた
あの時の優しい看病の心のままで
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