背景の記憶(302)

 これは僕自身の特性と言おうか、あまり分け隔てのない性分だと思う。意識的でもなく持って生まれたものなのか・・・。親の薫陶を受けたわけでもなく、兄姉も歳が離れていたし、強いて言えば父母からの遺伝的感性なのだろう。

 小学生時代、不登校の同級生の家に迎えに行ったり、「あそこへは行ってはいけない」と噂のあった場所にも遊びに行って、ご飯をごちそうになって帰ったりもした。

 中学生時代では、秀才君だけど病弱な彼の家に誘われるがままに遊びに行った。殊の外、お母さんに歓待された記憶がある。そしてこれまたなぜか、転校生とも一早く仲良しになった。こちらからのはたらきかけでもなく、なぜか彼らの方から僕に話しかけてきた。夏休みに、故郷の隠岐の島に一緒に帰ったこともある。親の転勤絡みなのか、超都会的な言葉や振舞への憧れも含まれていたのかもしれない。学級委員とかの肩書?とは無関係で、僕の内面的な(世間知らず)特性がそうさせたのかもしれない。

 高校時代では、ちょっと不良っぽい女子が近づいてきた。たぶん彼女の親も教師だったと思うが、変に世間に拗ねたようなところがあって、シャツの胸元をちょっとだらしなく開けたような仕草が、悪っぽく見せてるようで妙に可愛かった。授業途中なのに教室を抜けだして、他のクラスの男子生徒と手を繋いで帰ったり・・。
 その彼女と還暦の同窓会で再会した時、思わぬことを言われた。「サリン事件の時、ゼッタイ!ワタナベ君があの中にいると思ってた」と。よくよく考えれば、学生時代から、宗教絡みの世界に踏み込んでいるという噂は、同級生たちには知れ渡っていたようだった。

 平凡の中の非凡。そんな自分を超客観視するもう一人の自分がいる。


雲間の陽射し.jpg

posted by わたなべあきお | comments (0) | trackbacks (0)

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