アナザーストーリー��

 彼女の家は福岡市の西北の郊外にあった。到着すると彼女の叔父さんを紹介された。以前施設にいた時に聞いたことのある名前だった。どうやら彼女のご両親は、何か訳アリで一緒に暮らしてはいないようだった。思いきって妹さんのことを聞くと、昨年縁談がまとまって、東京へ嫁いで行ったとのことだった。ちょっと残念な気持ちになったが、このことが彼女の心を急かせたかもしれないなと思った。

 遅い昼食をいただいて、母屋のすぐ隣にある離れの部屋を紹介された。どうやら此処が僕の新しい住まいになるらしい。もちろんいきなり彼女と同居というのはないだろうと思ったが、なんとそこは彼女の住まいでもあったのだ。おそらく姉妹で暮らしていたのだろうと想像できた。ということは、もう事実婚?そんな展開に内心ビックリした。

 二人っきりになった部屋で、改めて見つめ合った。勝ち気な彼女が、安堵感からかちょっと涙ぐんでいるように見えた。彼女の心の負担を思うと、男としての不甲斐なさと小心を恥じた。と同時に次の段階への決意めいたものが沸き上がってきた。「まずは仕事だな」それを察した彼女は、「私が勤めている会社に頼もうと思ってるの」と言った。そうか、彼女の中では、そこまでのシナリオは描き済みだったってことか…又しても改めて彼女の行動力に驚かされた僕だった。 

posted by わたなべあきお | - | -

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