背景の記憶(293)

小学校の遠足の二三日前

汚れたズック(布靴)をタワシで懸命に洗った。

親にあれこれと買ってくれとは言いづらい時代だった。

昭和二十年代の話。

当時は、さすがに裸足というのは無かったが

平素はゴム草履か黒い短靴を履いていた。

どこの家も総じて貧しかったから、履物にそれほどの

執着は無かった。しかし、

大人ならよそ行きの服とか一張羅とかいう言葉が

存在する時代だったから、子供にもそれなりの意識はあった。

子供なりのよそ行き感覚だったんだろう。

徐々に異性を意識し始めて、体裁を考え出したということだろう。

実のところは、そんなひとの風体など気にはしていないのだが

子供なりの自意識というか、そんな感情が芽生える時期だった

のかもしれない。

posted by わたなべあきお | - | -

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