小学校の遠足の二三日前
汚れたズック(布靴)をタワシで懸命に洗った。
親にあれこれと買ってくれとは言いづらい時代だった。
昭和二十年代の話。
当時は、さすがに裸足というのは無かったが
平素はゴム草履か黒い短靴を履いていた。
どこの家も総じて貧しかったから、履物にそれほどの
執着は無かった。しかし、
大人ならよそ行きの服とか一張羅とかいう言葉が
存在する時代だったから、子供にもそれなりの意識はあった。
子供なりのよそ行き感覚だったんだろう。
徐々に異性を意識し始めて、体裁を考え出したということだろう。
実のところは、そんなひとの風体など気にはしていないのだが
子供なりの自意識というか、そんな感情が芽生える時期だった
のかもしれない。