否応なしに引き裂かれるような、つまり受動的な別離ほどショックなものはないだろ
う。薄ぼんやりとした記憶の中の母との別離が、まさしくそれだったわけだが・・・
その後の僕ときたら、能動的に自らの意志で、言ってみれば軽々しく別れを決行して
見せ続けた。相手の、あるいは相手側の、迷惑や混乱や戸惑いを省みることなく。
表面上、受動的立場にあった時ですら、勇ましさを装って悪役側に回って見せた。
自分を虐めることが自分を成長させる〜というような身勝手な論理によって、人様
を傷つけていってしまったのだ。
「どうしてそんなに苦しい方へ苦しい方へ、あなたは行くの?」
彼女の叫びは悲痛だった。その背景にある優しさはまぶしい限りのものだった。
あのまま飛び込んでいたら、どんな人生の展開がまっていたのだろうか?
同時に二つの道は歩めない。