亡き父に
「おまえは、脱出の名人だな」
と言われた僕ですが・・・
それはかなり昔のこと
つまりは<青春>の裏返しです。
しかし・・・
もしこの技が、今の僕にも宿っているのなら
その名人ぶりを発揮ささたいものだ。
いや、何としても呼び覚まして
この逆境(難局)を突破しなければなるまい。
人の所為にするのは容易いことだ。
世の中や政治の所為にするのも口惜しい。
若いころの<脱出>は
言葉を換えれば<逃亡><逃避>に過ぎなかった。
その場から逃げる、その人の前から消える・・・
それを勝者の言葉に置き換えて
自分を正当化していただけなんだ。
さあ、
今は諸問題を投げ出して逃亡する場合ではない。
這いつくばって
目線は鋭く上に向けて睨みつけ
やがて木っ端みじんに打ち砕き
覆い被さる闇の罠を
鋭い刀で切り開き行こう。
僕が・・・
久しぶりに帰省した時
ある瞬間
父が両膝を抱えて
その中に顔を埋めて
沈思黙考していた姿を思い出す。
あれは・・・
今の僕と同じ心境だったのではなかろうか?