別れ

 人間は別れることで何かを得る生きものなのかもしれない。

別れるということには、人間を独り立ちさせ、生きることの

すぐ隣に平然と哀切、慟哭が居座っていることを知らしめる

力が存在しているのかもしれない。

 人は大小さまざまな別れによって力を備え、平気な顔で、

明日もここに来るから、と笑って生きるものでもある。

人間の真の姿はそういう時にあらわれる。


      伊集院 静  「生きることの隣に哀切がある」


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posted by わたなべあきお | - | -

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