僕の練った作戦は
あまりに見え透いていて
きみにはばれていたにちがいない
バイトを終えた帰り道
僕は傘をささずに雨の歩道を歩いていた
ゆっくり
ゆっくり・・・と(わざと)
背後に駆け足の靴音
スッとさしかけられた赤い傘に
僕は驚きの表情をして見せた
きみの瞳が笑っていた
無言で並んで歩く間
こころを見透かされたようで
恥ずかしかった
♪ただお前がいい
おとすものなど なんにもないのに
伝言版の左の端に
今日もまた一つ
忘れ物をしたと誰にともなく書く
そのくり返しを
その帰り道に笑うおまえ
また会う約束などすることもなく
それじゃあまたな と別れるときの
お前がいい
中村雅俊(ただお前がいい)