背景の記憶(239)

終業のチャイムが鳴ったのは、

アルバイトの僕が、丁度車の車庫入れを終えた時だった。

そして、君も作業を終えて作業場から出てきた。

僕には気づかず、ちょっと背伸びをしてから、

後ろに束ねていた長い髪をほどいた。

さらさらの黒髪が、肩に扇のように広がった。

やがて気配を感じて振り向いた君は、

これまでになく大人びて見えて、

僕はハッと息をのんだ。

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posted by わたなべあきお | - | -

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