背景の記憶(235)

約束の場所の交差点は、多くの人々でごった返していた。

街灯の柱に寄っかるようにしていた君は、鮮やかな赤いタータンチェックのスカー

トを身に着けていた。

一瞬、周りがモノクロに変わり、赤いチェック柄が浮かび上がって見えた。

いつもはほとんど黒系統のファッションの君だから、余計にそう見えたのかもしれ

ない。

ストップモーションの風景が、せわしなく動き始め、僕は信号を渡り、素早く腕を

組んだ。

君を誰かに奪い去られないように・・・とでも言うように。


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posted by わたなべあきお | - | -

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