「刑事さん、私のような者がこんなことを言うと笑われるかも知れませんが、
いまは政治家にしろ官僚や企業人にしても、人一倍貪欲なくせに、それが当然だと
いうふうな顔をしている。他人を平気で陥れながら、自分が関わった事件が発覚
すると他人のことはどうでもいい、自分だけが逃げようとする。さもしいですね。
日本人は責任の取り方を忘れたのでしょうか・・・」
「いまは真面目に働いている者が馬鹿をみる世の中です。住専にしても、薬害
エイズの問題にしても、東京都庁や北海道庁、さらには学校教育の現場まで
裏金が使われています。」
「金に苦労していない者が、湯水のように税金を使って金を使える時代です。
それに比べて、一般中小零細企業はどんなに努力しても、苦しい経営強いられて
いるのが現実です」
捜査一課・桐生恭介 「屍薬」