きみはどこでどう俺を見間違えたのだ
もう五年も光を拒絶し
暗闇の中に溶け込んでしまおうかという俺なのに
この真っ暗闇でも
君は俺が見えるというのかい
ほんとうにへばりついてきた
共倒れだぜこの野郎・・・
死滅したはずの過去が
巨大な水滴となって
砂漠と化していた
俺の瞳を濡らした
ただの黒と思っていたのに
その中に
俺は強い生きた黒を見た
澱んでいた色彩が
暗いメロディーを奏で
やがて混沌の心臓そのもののように
強烈なビートで枹が躍り出した
慈愛に満ちあふれた無知なる男
回生の魔力を持った神業師くん
君は黒い宿り木よ
(50年前の作)