背景の記憶(173)

「どうしてそんなに、苦しい方へ苦しい方へ行くの?」

彼女はそう言って悲しそうな顔をした。

その時に、哲学めいた考えで動けていたわけはないのだが

僕は三叉路や十字路に出くわしたとき

確かに、狭い道やでこぼこ道やトンネルのような道を進んだ。

結果・・・

彼女と手を繫いで進む道は無くなってしまったのだが

彼女はわかってくれていたと思う。

若すぎた・・・いや、幼すぎた。

何があっても何とかなる時代ではあったけど

頼り切ってしまう自分が惨めに思えた。

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top