背景の記憶(147)

学生街の小さな公園のベンチで

いつも君が先に待っていた

ふたつ手前の角を曲がった時

急に両手を広げた君が現れて

僕は驚いた

あなたに決まってるでしょ

とでも言うような自信たっぷりの笑顔で

君は僕の手を握りしめた25.10.28-1.jpg

クラブの帰り道

僕は先に歩き出し

君の視界を外れたとき

速足で歩いて

マンションの壁裏に身を隠した

君は自転車を男乗りのように操って

勢いよく僕を追い越して行った

異変に気付いて君が振り返った時

今度は僕が両手を広げて歩き出した

もう・・・とでも言うような表情で

君は自転車を反転させた

posted by わたなべあきお | - | -

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