投影

雨の狭い坂道で

踏みつぶされたカタツムリがいた

あと50センチほどで

土や草のあるところだったのに

僕は自分を彼に投影していた

目的地へ届けてやろうか・・・

と一瞬思ったが

なぜか僕は通り過ぎてしまった

その行為さえも

僕は裏返しの投影と見ていたのかもしれない


あらゆるみんなが無関心だ

踏みつけた人だって

何の罪悪感もなく去って行ったにちがいない

落ち葉か果実か犬の糞のように

僕は人間の心の残虐性を思った

無意識の中の悪魔


あの坂道は人通りもほとんどなく

静かな安全地帯であったはずなのに

またしても僕は

わが身を重ねていた27.4.20-1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top