玄関先まで見送りに出てこられた未亡人の瞳は、涙で潤んでいた。

弱いんだな・・・こういう場面は。

23.5.20自宅の花.jpg

朝、「K学区のNですが・・・」という電話。
Nさん?しばらく分らなかったが、ご主人のことを言われて理解した。
「家を売って、娘の近くのマンションへ移るつもりなのですが・・・」
どうも水回りに、なにか不具合がある様子。

お伺いすると、大した材料も必要とせず小一時間で修理は終わった。
「今年・・・もう七回忌なんですよ」
僕はサラリーマン時代、ご主人に随分と可愛がってもらって、また色々と仕事
のことも教えてもらった。独立後はちょっと疎遠ではあったが、娘さんの家の
仕事をいただいて復活したのだった。

その頃は、脳梗塞と心筋梗塞を連続して患い、懸命のリハビリ中のことだっ
た。まだ動く片方の手でパソコンにも向かっておられたのを思い出す。

失礼しようとすると、「あのぉ・・・お代は?」
<いえいえイイんですよ。たいした材料も使っていませんから・・・。>
「申し訳ないですねぇ・・・ほんとお金もなくて・・・」
<とんでもないです。またなにか、僕に出来る事でしたら遠慮なく仰ってください。>

ささやかな、ご恩返しです。

posted by わたなべあきお | - | -

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