背景の記憶(117)

 おまえの街はどこかと訊ねられても、いまのわたしは、ここだというべき場所をもっていない。多少の懐旧の心情を混えれば、少年の頃の街が蘇ってくるが、いたるところの十字路や露路すじに、悪い表象が立ち塞がっている。それを避けようとすれば街のすべてを拒絶するよりほかない。幻想の首都をさがして、いくつもの街を通り過ぎてきたような気がするし、少年の頃の街も、何べんか縮まり変形してきたような気がするが、心象のあちら側に、何か気配のようなものが感じられるかぎり、そこを目指すよりほか仕方ない。知りびとたちは死に、腐敗した透明な空気に変身している。                       (吉本隆明)

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「「きみのつきあい方は、どんなに親しそうにみえても、ほんとうは明日からそのまま交渉がなくなってもちっともひっかからないといったつきあいかただな」

ドキッ!

同じようなことを何回か言われた経験がある。
理想主義者の裏返し?
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ちょっとした隙さえあれば、カバンひとつでひょいと、行き先なしの環状線の列車に乗り込んでしまうようなところがある。あくまでも心象内での話だが・・・。

posted by わたなべあきお | - | -

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