京都ラブストーリー

 そもそもなぜ「京都ラブストーリー」と銘打っているのかと言えば、T子さんが「東京ラブストーリー」のリカ役の鈴木保奈美に似ていたからに他ならない。容姿もさることながら、言動や思考形態までがそっくりだったのだ。カンチ(織田裕二)がそうであったように、僕は彼女にリードされっぱなしで、事の進行までもがドラマ仕立てそのものだったのだ。悪い意味ではなく、彼女にリードされっぱなしの僕。それはそれで居心地よさもあり、微妙な心のバランスだった。第三者から見れば、アンバランスと見えたかもしれない。

 宗教施設の研修旅行も、彼女と同じ班にセットされたし(おそらくは彼女の下工作)、僕は描かれたシナリオに沿って歩けば良かったのだ。そこには押しつけられ感
はなく、自然な成り行きのように思えた。でも、後から考えれば、その背景には彼女の綿密なそして繊細な計画と実行力が働いていたのであって、僕はその敷かれたラインの上を、当然の如くに歩いて行ったのだった。幼さ故か、未熟さ故か、僕は彼女の掌の上で心地よく転がっていたのだ。なんの違和感も抱かずに。

posted by わたなべあきお | - | -

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