背景の記憶(275)

♪クシコスの郵便馬車・・・覚えていますか?
僕はハッキリ脳裏に刻まれています。(運動会でもよく使われた曲だけど)
学芸会の時、顔の半分ぐらいはあるようなハーモニカを、半音を駆使して一生懸命吹いている姿を思い出します。曲に聴き入るというよりは、その演奏姿に見入ってしまいました。

 一年生の時から卒業するまで、六年間ずっと同じクラスでしたね。そして学級委員も、必ず二学期で一緒でした。あんなにたくさんの生徒数で9クラスもあったのにね。

 六年生の時かな?僕は大失態を犯してしまいました。君を傷つけちゃいましたよね。机の中の包み物を確かめもしないで、「これ何?」って、みんなの前に晒してしまいました。あれは君からのプレゼントだったんだよね。今更ながら赤面してしまう。ホントに傷つけちゃったよね。

 中学、高校も同じ学校だったけど、もろもろの事情が絡まって、接点はほとんどなく、高校三年生の時、同じクラスになったよね。「なんでアイツがこのクラスに?」ってみんなに思われていたから、君もビックリしただろうね。事情は担任のK先生しか知らなかったからね・・・。冷たい視線の中・・・ってほどの被害者意識はなかったけど、言い訳できない分悔しかった。心で泣いていた。

 卒業式の日、式が終わって教室に戻り、保護者も後ろに並んだ時、みんなちょっと興味津々って感じで僕の保護者を見ていたよね。親世代でもないし、姉にしては顔が似てないし・・・。五つ年上の彼女。あれからの五年間が凄まじかった。いつか君に話せる日が来るかなと思いつつ、今日になってしまったよ。

 同窓会の誘いは貰うんだけど、帰郷出来ずじまい・・・。君が出席できるときに帰れて話せたらいいんだけどね。夢のまた夢に終わっちゃいそうだね。
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posted by わたなべあきお | - | -

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