背景の記憶(250)

僕の履歴は、一応<高卒>となっているわけだが

一年生の夏には家を出たわけで、実質は<高校中退>と言った方が

正解かもしれない。

一学年五百数十名という団塊世代の中で、僕一人がどうなろうと

超進学校にあっては、何の問題もないことだったのだ。

二年生の終わりに、担任の先生に呼ばれた。

「お前は、どういうわけか入試の成績が良くて、その点数のおかげで

現時点では、男子のトップ50にぶら下がっている。(ぶら下がっている〜かよ)

どうする?こないだ親父さんとも話したんだが・・・」

「このまま国公立を目指すコースに残るかどうかだが・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「まったく!そこに立っていろ!」

職員室の他の先生方が、憐みの目を向けていた。

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まったく・・・

花村萬月氏の小説の世界のようだ。

宗教施設に身を置くことから始まった

僕の青春時代は

同氏顔負けの世界の始まりだった。

posted by わたなべあきお | - | -

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