背景の記憶(172)

「瑞々しい欅の若葉を透いた光が・・・」

古びた木造校舎の中学校の教室で

先生に「渡部、読んでみろ」と言われ

僕は国語の教科書の巻頭の詩を読み始めた

窓からは明るい陽光が差し込み

教室の暗い部分とのコントラストが鮮やかだった


小学生時代、放送部だったこともあって、朗読は得意だった

誰に教えてもらったのだろうか・・・

眼は数行先を追い、言葉は逆の行いをしていた

中野重治の詩を読み終えた時

先生が言った

「うん、「間」がいいな・・・うん・・・」

僕は、窓の外のグランド横の緑の木々をじっと見ていた


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posted by わたなべあきお | - | -

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