わたなべあきおWeb

遊泳

人の心の

世の中の

移ろいの多さに 烈しさに

かすり傷さえ恐れて

壁を立て掛ける


節穴から入り込む 外の光は

眩しそうに思えるけれど

中が暗いから そう思えるだけで

出てみれば

どんよりとした曇り空にちがいない


田舎の家にあった

柱時計のコチコチ音が懐かしい

いつだって

同じ時間のはずなのに

あの頃は ゆっくり流れていた

誘われる夢も 奥深かった

すべてに絶望してたのに

遠くの光を どこかで探していた


無数の座標軸が 入り乱れ回転し

アンバランスの感覚を麻痺させる

心理のなかの 無重力

あちこちで竜巻が生まれ 暴れる

どうにでもなれの此処には

意外と 近づかないものなのさ


突然の轟音

現実の 雹のような雨音が

昼寝の耳を突き破る



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(Update : 2010/07/02)