背景の記憶(62)
すべての行為、行動の原因と理由を、相手に言葉で明らかにすることをフェアと言うのなら、それはそれで納得というものです。無駄な疑念や詮索が不要ということになりますからね。
しかし、それも時と場合によるんじゃないかな?まだ事が熟成していない段階で、玉手箱を開けたなら、面白味もなにもあったものではないじゃないですか?
その意味において、あなたは正解だった。すべてを語らず飛躍した(かに見える)行動で、波紋を投げかけた。様々な波の形と強さに翻弄されて、木の葉舟は揺れに揺れた。一瞬、水面から姿を消すこともあった・・・。
しかし僕は、たしかに浮き上がり静かな流れに乗った。自然の悪戯であれ、人工的な淀みであれ、それらを通り抜けることに大いなる意義があったのだ。「そっちに行ったら危ないよ」「こっちが安全だよ」〜では、今日の僕はなかっただろう。
「どうして苦しい方にばかり行くの?」そう問いかけた君が、図らずも矛盾の救いの手を差し伸べる。あの時だからアンフェアが正解だった。ラストステップだからフェアな言葉が生きた。
こんな解釈をする僕を、君は想像できただろうか?僕は呪文のように繰り返す・・・<人生はいつも青春、いつも青春、流離い人に涙はいらない・・・>
今なら素直に言えるかな? ありがとう!・・・と。
|