走馬灯
澄み切った昨日の青空は何処へやら
今日はどんよりとした雲に覆われて
細かな涙のような雨が滴り落ちてきます
道行く人々は日々を追いかけて
誰ひとりこちらを向いてはくれません
そういう僕も・・・
今日一日が確かな日でありますようにと
自分のことが精一杯で
ひとのことなど考えてはいられないのです
風よ運んではくれまいか
想いを包んだこの便りを
遠いあのひとのもとへ
出逢いと別れの繰り返しの中で
ずっと見守ってくれた
あのひとへ・・・
どこかへ旅立ちたい衝動が
家族の寝顔に押しとどめられる
独りの重さを誰にも告げられず
せめて妄想の野原を彷徨い歩く
はるか山間の一軒家に灯る
温かな明かりを求めて・・・
想いは駆け巡る夕暮れ時
涙がそうさせるのか
あらゆるものたちが揺れている
かすかに聴こえる歌声は
僕の好きなスローバラードか
枯れ葉の中に身を埋め
最後に両手で目を覆う
自由とはいったいなにものなのか
標なきこの道を
彷徨い歩くことなのか
どれだけ歩いたか考えるよりも
何を求め何に向かって歩いてきたのか
巡り巡る走馬灯は一瞬
君の笑顔の一コマで停止する
そこで僕は・・・感謝を込めて
ありがとう!と手を振ろう
元気ですよ!と微笑み返そう
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