白い吐息
冷たい雨の早朝
ガレージ横に置いてあるカラス避けのネットの上に
白い猫が寒そうにうずくまっていた
センサーライトに照らされたその猫は
野良にしては、まだ毛並みがいい
新顔さんかい?
主を失ったのかい?
近づくと・・・
驚いた表情で車の下にもぐりこんだ
優しい・・・悲しそうな目をしていた
自分の心と重ね合わせた
何の理由かは分らないけど
置かれた現状が不憫だ
これから厳しい冬を迎えるというのに
でも・・・僕は飼ってはあげられないんだ
時代のもたらす黒い影が
白い小さな生き物を
どこかへ覆い隠してしまうように思えた
強者も弱者もない
みんな同じ生き物じゃないか
どこへもぶつけようのない怒りにも似た感情が
こみあげては・・・白い吐息となって雨に消えた
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